高舘城と武将
高館城という城砦がかつて名取市にありました。
仙台平野に隆起した高館山の丘陵に存在します。実際城の原型はなく、現在ではうっそうとした森林が広がるのみです。
また、築城年代は不明瞭ですが、義経が関与した1189年の奥州合戦、南北朝時代の派閥争いである観応の擾乱でも使用されたという説があります。
かつて中国の詩人杜甫は
国破れて山河在り
戦争による国の荒廃と、それを包み込む大きなる自然の大きさ、人間の愚行の虚無を伝えております。
名取市にそうした歴史上の重大な場面が過ぎ去った城砦があったこと、そしてその形骸さえもない今は、まさに杜甫の詩を連想する心境であります。